2019-06

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モデル体験記(3-2)

次に着いたのは沼だった。水が枯渇して泥しか残っていない。真ん中に桟橋がかかっている。ひろしさんとDさんが桟橋の上からバケツで一部分の泥に水を含ませた。
「彩夏さん、今回の演出、主役だから」
監督さんが言った。確かに昨日そんなこと言ってたなぁ・・・

「彩夏さん、これから何するかわかるよね?」
監督さんが聞いた
「え・・・・あ、はい、泥まみれに、なるんですよね?」
私は答えた
「そうなの?」
えっ?意外な返事・・・
「あれ?違うんですか?」
「いや、違わないけど、やりたいの?」
「え・・・あんまりやりたくはないです・・・」
「なら、しなくてもいいよ。」
・・・・え?
やらなくてもいい?
ここまできて?

なるほど。
私を試してるんだ。
「やりたいです」私は言った。
ひろしさんとDさんはすでに泥に入ってスタンバイしてるのに、入らないわけにはいかない。
「いやいや、やりたくないんでしょう?結構ですよ。」
監督さんがいった。
ますます入りたくなった。私の頑固さを見抜いたのかな。
「いや、入ります!入りますよぉ!」
と、宣言したものの、純白のワンピースを泥まみれにするのは流石に抵抗があった。そんな服子供の頃に着た以来、全く着ることがなかった。私にはスーツ以外の、特にフリルの付いたようなスカートは似合わないと思っていたから、初めて着たときは抵抗があった。けど、監督が絶賛してくれたし、今朝もひろしさんが似合うと太鼓判を押してくれた。これを着て街に出るのは抵抗があったけど、たまたま秋葉原の電器屋さんに買い物に出て少し違う方向に勇気が出た気がしていた。
その純白の服を泥色に染めるのだ。洗濯しても漂白しても完全には落ちないんじゃないかな?せっかく新しいジャンルの服に挑戦できたのに・・・いや、泥まみれの体ってのも、新しいジャンルかもしれない。挑戦・・・してみたい。

「無理しないでくださいよぉ」
監督さんの言葉に逆に火をつけられた。私は靴を脱いで裸足になり、ゆっくりと泥に足をつけた。
にゅるっ、とした泥が足を包む、ゆっくり足を沈め、スカートが泥の中に・・・足を底につけようとしたけど、底がない!
どんどん沈む私。ついに胸まで沈む。手も泥んこだ。泥がサラサラとしてて、冷たくて気持ちいい。そうこうしているうちに首まで浸かった。泥まみれの手で顔にたっぷり泥を付け、桟橋に手をかけてゆっくり泥の中から這いあがる。泥から足以外が出ると、一度手を離して頭を泥につっこみ、全身泥まみれ。また桟橋に手をかけて桟橋に上がった。泥の塊がボタボタ落ちた。目だけ拭ってカメラに向かう。監督がカメラを構えたままじっと私を見ている。胸を掴んでみると泥の塊がニュルッとでてきた。
「彩夏さん、ドロドロだねぇ。」監督さんがいった。
「はい!」私はニコニコしながら答えた。

監督は、「じゃ、次の演出はね・・・」と語りだした。

演出を聞くと、監督さんの後ろからひなさんが走ってきた。ひなさんは体操服にブルマで、全身びちょ濡れだった。体操服で濡れているから下着は透けていた。ピンク色のブラが可愛い。
「うわぁ・・・・あなた、誰?」
ひなさんがふざけて聞いた。私は答えた。
「あたし?ひなです。」
「えぇ!?あたしがひなだよ!」
「え?なんで!?証拠見せてよ!」私はひなさんの声をまねて言った。ひなさんはバケツで頭から水をかぶった。
「ほら、こんなずぶ濡れになれるのはひなだけだよ!?」
「えー?違うよー?本物のひなならすぐにでも泥に飛び込むもん!」
ひなさんはふくれっ面をしながら、私の手をつかんでそのまま泥の中に引きずり込んだ。ひなさんと泥を顔面にぶつけ合い、服や体に塗りあった。私はひなさんのブルマのゴムをひっぱり、泥の塊をたっぷり入れ、さらにひなさんの服の襟首を掴んで大量の泥を入れてあげた。そのお礼にひなさんは私のワンピースに大量の泥を入れた後、バケツに泥を入れて私の頭にかぶせた。バケツの中に頭を突っ込んだような状態になり、息ができなかった。バケツをはずすと泥の塊が頭と顔からボタリボタリと落ちていった。
目に付いた泥を軽く落とすと二人で桟橋に上がった。
「ねぇ、どっちがひなでしょう?」私が言った。
「間違えたら泥に落としちゃいますよ?」ひなさんが言った。
って、ワンピースと体操服じゃ違いがありすぎるけど。
「決まってるよ。ひなは君だ。」あっさりひなさんを選んだ。
「ざんね~ん!」
私がそう叫び、監督さんの腕をひっつかんだ。ひなさんも同時に掴み、一緒に泥に落ちた。監督さんも泥まみれ。まぁ、プラン通りだけど。監督さんはすぐにあがり、私たちはまた泥の塗り合いに興じた。
いちど泥からあがり、休憩をとった。泥を近くの水道で全部洗い流した。服は見事に灰色に染まり、そしてびしょ濡れだった。濡れたままおやつと水分の補給、休憩をした。
30分くらい休んだところで撮影再開。まずはひなさんが泥に入った。私はしばらく撮影関係なしでバケツに水を汲んで何杯かかぶり、しっかりと濡れたのを確認してひなさんの演技をみた。
しばらくしてひなさんは桟橋にあがると、ひなさんも撮影に関係しないところで泥遊びをしていた。
私は泥に入り、Dさんとひろしさんに泥の中に埋められると、自力で泥から這いあがった。泥の硬い部分の上に座ると、頭から緩い泥につっこみ、そのまま前転をした。頭を泥から出し、また硬い泥に這い出ると、背中から泥に倒れた。しぶきが飛び散り、グチャっという音がした。また這い出て、今度は胸からグチャッ。大きめの音を立てながら泥で遊んだ。
しばらくしてひなさんが参加し、二人でグチャグチャ音を立てながら遊んだ。桟橋にあがったときにはもう夕日が半分以下にまで沈んでいた。私とひなさんは厚手のゴミ袋に入り、口に太いチューブをくわえ、チューブの先をゴミ袋の外へ出し、ゴミ袋の口を縛りそのまま車に積まれた。数時間そのまま動かずに車に揺られ、帰って袋から出た。泥は少し乾きパサパサになっていたが、ボトリボトリと泥の塊は滴っていた。これで撮影終了。泥女の私たち二人はしばらく泥の感触を名残惜しく感じ、夜までそのままでいた。もちろん服を着たままシャワーを浴びて泥を落とした。びしょ濡れでシャワーから出るともうひと撮影したいと監督から言われた。疲れてはいたがOKし、二人でいすに並んで撮影した。部屋は冷房が寒いくらい利いていた。
まずひなさんにインタビュー、そのインタビューを私は聞くことができなかった。なぜなら、私はDさんから冷水のシャワーを、ひろしさんから氷水のバケツを浴びていたからだ。寒くて震えが止まらない。シャワーがひなさんに切り替わると今度は私にインタビュー。
「泥んこになって、どんな感じだった?」
「あっ、はぁ、はい、ヌル、ヌルしてて、き、気持ち、よかっ、」
「ずぶぬれとどっちがいい?」
「どっ、ちも、です。泥は、泥、で、いいです、し、」
歯をかちかちふるわせながら言った。ひなさんをちらっと見ると、ひなさんは足を氷水の水槽にどっぷりとつけられていた。その上冷水シャワーと氷水のバケツだ。この上なく寒いだろう。
「はい、彩香さんおしまい。寒くて悪かったね。お風呂わかしてあるから、服脱ぐか着替えるかしてから入ってね」
そういわれ、私は出ていった。服を脱ぎお風呂に入る。当たり前のことなのに、不思議と新鮮な感覚だった。

あとで聞いた話では、ひなさんはその後水槽に沈められ、20秒に一度頭を押さえつけられながらのインタビューだったらしい。監督も自分の嫁だからって、ひどいことをするよな、とひろしさんが心配そうに言っていたが、当のひなさんは「それくらいうちでは普通だよ。真冬の北海道で水浴びたことあるもん」と笑って話していた。

次回の撮影は一週間後。なにされるんだろう・・・

コメント

あとがき

長~!!

えーと、彩香の文字が間違っているのは仕様ではありません。ミスです(直せよ)

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