2008-09

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えーっと

更新停止中・・・というか、ネタ詰まり中です。

アイドルの楽しみ 9(最終回)

結局私は何も生み出さなかったし、誰からも本気で愛されてはいなかった。20歳でやめると宣言し、3日後にはファンレターもこなくなった。いい。それでいい。厄介なものがくると事務所が引き留める。どうせもう尻すぼみ段階に入っているのに。

20歳でやめる宣言の会見のときが一番楽しかった。
会見をすると言ったときにプロデューサーと事務所の社長は早速企画を練ってくれていた。

「今回、集まっていただいたのは他でもありません、私水沢陽菜は、学業に専念するため、20歳の誕生日に、ムーンフェイスプロダクションを辞め、事実上芸能界から姿を消すことに決定させていただきました。」と、会見の冒頭で演説する事になった。
その本番で、
「今回、集まっていただいたのは」
でバケツの水をかぶり
「他でもありません、私水沢陽菜は、」
で粉を浴び、
「学業に専念するため、」
でパイを顔面にぶつけられ、
「20歳の誕生日に、ムーンフェイスプロダクションを辞め、」
でトマトソース?らしきものが降り注ぎ、
「事実上芸能界から姿を消すことに決定させていただきました。」
で大量のローションを浴びせられた。

ベテランの芸能リポーターから質問
「いつごろやめようと決意されたんですか?」
「もう、結構前からです」
トマトソース。

「ファンの方々にはなんと説明されたんですか」
「ファンクラブには会報で昨年から先ほどと同じように書かせていただいていました」
ローション。

「すると、昨年より前には決意なさっていたと」
「はい。短大に受かった頃からです」
粉。

その後もまるでわざとかと思うくらい会見は引き延ばされ、私も何がなんだかわからないものを浴びまくっていた。

そしてその映像は一日中繰り返し流され、程なくして私は水沢陽菜を辞めた。

アイドルの楽しみ 8

駅で注目されたのがまずかった。
あるトーク番組で、ずぶ濡れの女の子と一緒にいたことがばれてしまった。
眼鏡かけてエクステ外して変装していたつもりなんだけど。もちろん私は否定。
「そんな、いくら私がずぶ濡れシーンが多いからって。その時間あたしは家で爆睡してました(笑)。久しぶりのオフだったんで。」
別にバレてもいいけど。事務所的に?まずいでしょ?

今日はクイズ番組の収録。
○×で正解だと思う方に突っ込んで、正解ならクッション、間違いなら泥か粉か・・・すぐにでも間違いたいけど、あり得ないような間違いはできないし。
1問目、て、常識問題やし。
2問目、常識問題ながらつまづきかける。いや、マジで。
3問目~6問目、わかる範囲。
7問目。わからない。素でわからない。マネージャーは小さく○を示していた。ここは一発・・・

見事、全身泥まみれのアイドルが一人できあがった。


収録終了後マネージャーと話をした。
「なんで間違いの方に行ったんだ?俺答え教えたろ?」
「いや~、画的にオイシイかな、と。」
「芸人じゃないんだから気にすることはないのに。」
「え?グラドルなんて、芸人ですよ?」
「・・・え?」
実際最近はグラビアアイドルなんて使い捨てだし、生き残りといえばどこまでヨゴレ仕事ができるかと、どこまで喋りが使えるかにかかるわけで、取れるところでポイント押さえないと生きてはいけない。これは芸能界に限らないけどね。
そんな風にマネージャーに言ったら、
「へぇ~考えてないようで結構計算してたんだな」
失礼な。少なくともテメーよりは考えてるわ!とは言えないが。
で、泥まみれのまままた次の回に。今度は粉だ。短い芸能界人生。粉とパイだけは食らっとかないと。
4問目に音楽の問題がでて、見事に真っ白に。顔なんか酷いよな。でも、この酷い顔は全国で見られている。見られていることに私は興奮を覚える。これが今後の人生を左右することになる。

次回更新時に

次回更新時に、アダルトな内容を含む表現が大量に出てきます。

そのため、カテゴリーをアダルトに変更させていただきます。

その際、中には見られなくなってしまう方もいらっしゃるかもしれませんがご了承ください。

アイドルの楽しみ 7

前回書き忘れたけど、真奈美の父親はAV監督兼男優で、母親は元AV女優。だから真奈美はAV女優は運命づけられたといっていたようだ。もちろん他の職業だってつけたはずなのだが、「ううん、ママは私の憧れで、私はパパを尊敬してるから。」とその道を選んだ。実際真奈美は真奈美の母に似て二重瞼の美人だった。

今日はオフ。思う存分ヌルヌルにまみれるぞー!
駅で真奈美を待っていると、カラッと晴れているにも関わらず、全身からポタポタ水を滴らせた女の子が近づいてきた。真奈美だった。
「ちょっと!何であんたそんなずぶ濡れなのよ!」
ズルいじゃない!自分だけ!
「え?お店に入らない用事の時はいつもコレだよ?」
わずかにしかいなかったが、周囲の人は町中に猿か何かが出没したかのように珍しそうに真奈美を見ている。哀れんでいるおばちゃんに、イヤラシい目のおっさん。なんだか恥ずかしくて、すぐに駅を離れた。
住宅もまばらな町をしばらく歩くと池があった。真奈美はまるで導かれるように池に入った。人がいないことを確認すると、私も入った。冷たかった。潜って全身を濡らしてまた歩きだした。片方の女の子がずぶ濡れよりも、二人の方がまだましかな。信号待ちをしているとすぐに二人の下に水たまりができた。なんだか少しうれしかった。

私たちが着いたのは小さなビルの中のスタジオ。AVの企業所有のスタジオだとか。撮影を手伝っている真奈美の母が出迎えてくれた。ご丁寧にバケツの水を浴びせて。真奈美は「うちはこれが普通なの。」と笑っていた。

何となくビニール製のカバンを持っていったのがよかった。着替えはいっさい濡れていなかった。
真奈美の父は今日の女優さんを送るために出かけたらしく、着いたときにはいなかった。

部屋の扉を開けると、4畳半くらいのビニールプールがあった。深さはすねの真ん中まで入るくらいで、かなり深く感じた。
「パパが、この後は片づけるだけだから自由に遊んでいいってさ。」
真奈美は早速ずぶ濡れのままローションの中を歩き始めた。
「ちょっと男優さんのザーメンも混じってるかもしれないけどいい?」
真奈美は聞いてきた。どうせ捨てる服だし、ヌルヌルになれるなら何でもかまわない。
「いいよー。」
私はローションに足を入れた。両足入れるといきなり滑り、顔からローションに倒れてしまった。おかげで一瞬でローションまみれ。しかも番組のよりも粘度が強く、流れ落ちるのも時間がかかった。真奈美はゆっくり仰向けに寝そべり、真奈美もローションまみれ。真奈美はバケツをとり、ローションをなみなみ汲んで、座っている私に頭から浴びせてくれた。ザバーッていう水の音じゃなくて、たぱ・・・とぷん・・・ぴちゃ・・・というイヤラシい音が響いた。渡されたバケツで真奈美にも同じようにたっぷりとかけてあげた。真奈美もぬるぬる。そこへかっこいい男性が入ってきた。
「あ、パパお帰り。」
真奈美のパパだ。
「おう。れ・・・今は真奈美って呼ぶんだったな。」
「間違えないでよ。パパ」
「どうだい、えーっと・・・」
「あ、水沢陽菜です。こんな格好でスミマセン(笑)」
「そうだ。陽菜ちゃんだったな。どうだい、このヌルヌルは。」
「気持ちいいです。」
「写真撮ってあげようか。」
「え・・・」
「あ、プライベートなやつだよ。公開はしない。」
「あ、じゃ、喜んでお願いします。」
その後十数枚写真を撮った。普通にヌルヌルまみれで笑顔のものから、かけられてる最中、手で液体を引き延ばして膜を作ったり、それを顔に塗り付けたり、潜った後あがった瞬間というのも撮ってもらった。真奈美のママも手伝い、二人で抱き合ってカメラに顔を向けた写真と、二人いっぺんにかけられている写真を撮ってもらった。胸をもみ合ったり、手ですくって顔に掛け合ったり、それはもう夢のような時間を過ごした。写真撮影が終わった後もローション遊びを続けた。驚いたことに昼御飯も食べずなんと6時間もローション遊びに興じてしまった。

ヌルヌルになった服を袋に詰め、シャワーでローションを洗い流した。真奈美は服のままシャワーを浴びていた。私もうちに帰ったら服のままシャワー浴びてみようかな。

アイドルの楽しみ 6

アイドルに付き物のファンレター。バラエティ系のアイドルには、3割の応援と7割のアンチがくるらしい。ドMな私はアンチがくればくるほど嬉しかった。一部紹介します

「死ね」
生きる!

「ずぶ濡れじゃないとキャラが立たないくせに」
おお!ありがとう。なにしろ『専属』だからね!

「変態がぁ!」
ああっ、もっと言って!←変態

「○月○日あなたを襲います」
・・・通報しますた。

以上、よくくるメッセージをお届けしました。

またどうでもいい事を書いてしまった。。
今日は前回のコント番組が大好評だったため、またコントに呼ばれることになりました。
例のごとくアドリブで進んでいくんだけど、周りの出演者が妙に『ヌルヌル』とか言う。だからさっきからヌルヌルって何よ!と壁を叩くと壁が破け、勢いで転んだままツルーッと滑っていくと、なにやら水ではない液体に頭から突っ込んだ。あがると目が開けられない。なんだかヌルヌルして粘り気がある。なんだかやけに体が熱い。ようやく目を開けると糸のように垂れる液体。ツルツル滑って立てない。気持ち悪くはないけど、不思議な感覚だ。
カメラを向けられたので、笑顔で手を振ると後ろから役者さんにまたヌルヌルの液体をぶっかけられた。
終了後シャワーを浴びたがなかなかヌルヌルの液体は取れず、時間をかけて液体を落とした。

1ヶ月後のOAを見たら『水沢陽菜、全身ローションまみれ!』と書いてあった。なるほどあれが『ローション』という液体なのか。私は真奈美に連絡し、もう一度ローションまみれになりたいと伝えた。すると、
「あ、ちょうどよかった!明後日撮影の後パパがローション遊びさせてくれるから一緒に行かない?予定空く時間教えて。」
何という偶然。たまたま明後日は予定がない。他の日は真っ黒なのに。
「まじで!朝からあいてるの?なら朝から来てよ。場所わかる?」
とりあえず最寄りの駅に集合にした。
さて、何を着よう。ヌルヌルまみれの服は捨てるつもりだから捨てられる服。それから、もう一枚、あの先輩に切り裂かれた服。あ、帰るときの着替えも大事だね。ほかにも・・・

アイドルの楽しみ 5

もちろん、先輩からのイジメもあった。まぁ、期待されていない新人バッターがいきなり場外ホームランを出したんだから、現役バッターが嫉妬しないわけがない。かと。
どういうことをさるたかって?
靴隠された。
服切り裂かれた。

だから?

うん、私ね、いつずぶ濡れにされてもいいように、着替えは車の中においてあるんだ。靴もね。
先輩が私の楽屋の出口を覗いてたから、わざと「あれーっ?靴がないよぉ」とかほざいて、探し回るふりをして車に行って、靴を履いたら先輩の背中を叩き、つい言っちゃった。

「甘いね」

悪い顔、たぶん素の顔で。
そういやあれからその先輩の姿を見ないなぁ。なんでだろー

まぁ、そういうくだらない話はもうやめよう。
で、何が言いたかったかっていうと、着替えを常備してるわけよ。それが役に立った話をするね。
コント番組の収録だったんだけど、マネージャーから「今回は水なしだから大丈夫」と言われて、張り合いがないなあって思ってたの。まぁ基本的に異常なほどMだから、タライとかもアリかなーと考えてたら・・・

台本には最初の方の台詞だけしか書いていなかった。なるほど、役柄と状況をつかんだらあとはアドリブで何とかしろと。面白い。これは一つの試験だ。
終盤にさしかかったとき、適当な場所で「そんなことはもう水に流そうよ」と言ったところ、
「水に流すぅ!?」と、相手役がセットの壁を叩いた瞬間、滝のような水が私の真上から降り注いだ。
当然一気にびしょびしょ。何となく(期待を込めてはいたけど)水に流すと言ったら大当たりだったわけだ。マネージャーもなかなか人が悪い(笑)。
そのずぶ濡れになったあともコントを続けるように指示されて、しばらく演技をした後私は壁を叩いた。すると壁が倒れ、私は振った腕の勢いのまま壁に倒れ込み、そのまま滑るようにプールにドボン!見事に全身びちょ濡れ。

終わってタオルをもらい、着替えをマネージャーに求めると、「俺だって聞いてないよ!着替えなんかない!」と言われた。買ってこいよ。この後もすぐ別の番組が・・あ!もってたな。着替え。車のトランクの奥に入っているカバンを持ってくるようにお願いして、事なきを得た。

いつずぶ濡れになってもおかしくないアイドル。それが私。

アイドルの楽しみ 4

電話の音で目が覚めた。マネージャーからだった。
「いますぐテレビつけろ!」
全く。オフだってのに朝から騒々しい。
テレビをつけると、総理大臣がコメントしていた。いやいや、アイドル事務所の人がアイドルに向かってさす

がに政治じゃないだろう。チャンネルを変えて、驚いた。私が大写しだ。ずぶ濡れで。そうだ。あのPVだ。

『衝撃!可憐美少女、びしょぬれデビュー!!』
クサいタイトルだな・・・・って、私が可憐美少女?何を言ってるんだ?、世界の破滅か?
とにかく外に・・なんか、人がいるな。マスごミか。
マネージャーに電話。
「見たか!今君は日本中の注目の的だ!すごいぞ!」
いや、外、出れないんですけど。
「早速だけどバラエティー決まったから打ち合わせに来てよ」
行けるか。
「あ、迎えに行く。待ってろ!」
その前に。
「報道にか!とりあえず笑顔振りまいておけ。」
とりあえず面倒なことになった。注目だぁ?

しばらくするとワゴン車がきた。一番まともな格好で出る。おいおい、有名なタレントの熱愛発覚か離婚じゃ

ないぞ。フラッシュまぶしー☆
自宅前の異様な光景に笑い出しそうなのをこらえながらワゴン車に乗り込む。
「いよぅ!人気者!」
いよう。お調子者。
「すげえな。お前。いやぁ、努力した甲斐があったよな!」
私なにかしましたか?

その日とその2日後のトーク番組は滞りなくつまらない仕事をした。
次に出たバラエティは楽しかった。次はそのことを書く。
カラオケで80点以上出せば賞金、それ以下ならプールに落下。そんな企画。
前にも書いたけど、私は歌は下手だ。カラオケで50点すらいったことない。
案の定スタジオ内を異常な空気にさせながら歌い、ワンコーラス目であっさりプールに落下。可憐美少女、び

しょぬれデビュー。
言ってやったよ。せっかくだし
「この姿でデビューしたんで!」
そんなわけで、私はびしょ濡れ専属アイドルとして、活躍の幅を・・・って、専属??
まぁ、楽しいことには変わりないけどね。実際普通の人よりずぶ濡れになる回数多いし。そういう意味では専

属かも。
すぐ次の日にはクイズ番組とバラエティがくまれていて、スケジュールが真っ黒に染まっていった。

まぁ、もって4ヶ月だろう。そういう甘い考えでスケジュールをこなしていた。

アイドルの楽しみ 3

それからしばらく私が楽しいと思える仕事である濡れる仕事―――勿論写真集とか、私の下手な歌とか(ほとんど売れなかった。というかほとんど数を作らなかった)、それなりに楽しい仕事はあったけど、私が本気で楽しい仕事は濡れる仕事だから―――はなくて、水死体役から4ヶ月ほどたった日、若手人気バンドのPVで雨に打たれるシーンをやることになった。大好きなバンドだったから、二重に嬉しかった。

「陽菜君、よろしく」
ギター兼ボーカルのDAIYAさんが握手をしてくれた。なんか、芸能界入って初めて濡れる以外で本気で笑顔になった。
「陽菜ちゃん、濡れるシーン大変だけど頑張れる?」
ベースのRIKI君が心配してくれたけど、平気だと答えたら、マジ!?すごいね!と驚いてた。後で聞いた話だとこのRIKI君が私のことをなぜか気に入ってくれていて、それで今回のPVに出してくれたらしい。後からこのPVはこれからの仕事を大きく動かすとは思ってもいなかったが・・・・

汗ばむほど暑いスタジオでまず私から撮影。何百リットルか忘れたけど、冬のセーラー服のまま冷たいシャワーを浴びせられた。時々、「はい、回って」と言われ、ターンをしたり、ジャンプをしたりする。そのたびに飛沫が撒き散る。10分程度撮影された後休憩。タオルをDAIYAさんから渡してもらい、ちょっとドキドキしてしまった。隣でRIKI君がニヤニヤしながらこっちを見てたので、笑いかけてみた。RIKI君は「うっわー、ちょ、マジかわいー」と大興奮。そこでドラムのCENさんに思いっきりスティックで突っ込まれ、笑ってしまった。

撮影はその後20分やって、私の部分は終了した。その後仕事もなかったので、せっかくだから見学することにした。濡れた服のままの方が涼しいから、とタオルにくるまって眺めていた。眠そうなギターとコーラスのREIさんが現れ、撮影が始まった。表情にはあんまり出さなかったが、大興奮だったのは言うまでもない。
そこへ撮影監督がやってきた。
「せっかくだから、ちょっと別のシーンも撮りたいんだけど、いい?」
こういうのは有無をいわさずマネージャーがGOサインを出すのが普通だと思う・・・まぁ、乗りかかった船。ぜひ、と言ってシャワーの中に入った。
バンドの4人はずぶ濡れだったけど、そのずぶ濡れ姿もカッコよかった。なにやらDAIYAさんは打ち合わせをして、曲の最後のフレーズから再開。私は監督の指示で中心まで歩き、な、なんと、DAIYAさんに抱きしめられた。顔が熱くなっていくのが分かった。後奏24秒間抱きしめられ続け、OKがでたあともシャワーを浴びながら放心状態だった。

マネージャーに服を着替えるように言われたが、DAIYAさんのあの感覚が忘れられず、衣装だと言うことも忘れてずぶ濡れのまま歩いて帰った。

結局その「抱きしめ」シーンは使われなかったけど、あの感覚は忘れられない。

アイドルの楽しみ 2

次の仕事は死体役だった。水死体。制服のまま藻の生えた汚い緑色の池に石をくくりつけられて沈むというもの。濡れるだけじゃなくよごれることもできる。最高の舞台だ。
まず、犯人役にハンカチで布を当てられるシーン。睡眠系の薬物(探偵モノのアニメで「くろろほるむ」とか言ってるやつみたいなのだとか)を嗅がされているという設定らしい。ふっと目を閉じて犯人役に寄りかかる。
次のシーンでボートに乗り、足に石を縛られ、いよいよ池に落とされる。一発勝負だ。といっても私は何にもせずにただ落とされるのを待つだけだった。石をすねにのせられ、ポイッと水に放り込まれる。めちゃくちゃ冷たい上に、ぬるぬるっとした苔が滑る。あとはただ浮いてるだけ。水中カメラもあるらしい。空気をはききり、そのまましばらく撮影。そのまま発見されるシーンもやったらしい。目を閉じていたため分からない。ずいぶん長い間息を止めていた。しばらくするとそれも終わり、髪を引っ張られて終了の合図が出され、私は自分でロープをはずして浮上する。ゆっくり泳ぎ、池からあがる。寒い。震えたくもないのに体が自然にブルブルする。全身ビチョ濡れ。しかも臭い。でも、これだけひどい格好なのに私はドキドキと興奮していた。引き上げられたシーンも撮るため岩場に寝そべる。ブルーシートで覆われているとはいえ岩がすごく痛い。でも表情は出さない。自然に蒼い顔にするため、池の水に氷を入れた冷たい水を浴びせられる。ここは監督のこだわりらしい。震えたら撮り直しに加えてまた氷水を浴びることになる。でも力んだら蒼い顔にならない。何十杯も氷水を浴びせられ、撮影終了。新人だから誰も見向きしない。『お疲れさま』なんて言われるのは私を持ち上げて落としたそこそこ有名なはずの俳優さん(私は知らない)。新人なんて掃いて捨てるほどいるんだから、死なない程度で何でもする。それが当時の常識だった。
マネージャーは申し訳なさそうに私を励ましていたが、私の方があっけらかんとしていた。濡れた服を着替える場所?勿論、ない。その場で脱いで体を拭いてその場で着替えて帰るか、ずぶぬれのまま歩いてどこか着替える場所を探すかしないといけない。私は勿論後者を選び、本当は着替えたくなかったけど、トイレの水道で体を水で洗って着替えた。

アイドルの楽しみ 1

スカウトを受けて2ヶ月後、最初の仕事が決まった。アイドルだらけの水泳大会。まさに醜い争いの起きそうなステージだ。
私の芸名は「水沢陽菜」に決まったことが会場に行く前に伝えられた。「水」の字が入っていることが少し嬉しかった。
私は勿論勝つ気も笑いに貪欲になる気もなかったが、まぁ流されるまま進行に身を任せていた。
ここで私は不思議な女と出会った。彼女の芸名は真奈美(本名は未だに知らない)。真奈美は私の態度をすぐに見抜いた。勿論私は真剣にリアクションをとっていたし、勝ったら本気で喜んでいるという演技も、主催者側が喜ぶ感じでしていた。ところが、
「あたしと同じだね。そういう斜に構えた演技」
まるっきり見透かされた。これは面白い。『あたしと同じ』。まさか同類がいるとは思わなかった。似たもの同士、真奈美はこの世界の唯一の友達になった。真奈美は将来AV女優になりたいと言っていた。というか、AV女優は真奈美にとって『運命づけられた職業』だといっていた。
いよいよ私が一番やりたかった競技がきた。水中早着替え。服のままプールに飛び込んで、別の服でプールから上がる至福の競技だ。
セーラー服でプールに飛び込む。ふわふわっと優しく肌をなでる布が心地よい。
真奈美も同じだった。ふと見ると先ほどとは違う満面の笑みを浮かべていた。ずぶぬれでプールから上がる。結果?さぁ、競技に興味なかったから覚えてないや。

「私はこれ以外にはメディアには出ないから。」
真奈美はそういった。
なぜか聞くと、「ほら、元アイドル、AVデビューって箔がついて、『当時のお宝映像』みたいなのが出て注目されるじゃん。」
なるほど。真奈美らしい戦略的な考えだった。

「それじゃ。またいつか。」私がそういうと連絡先を交換し、別れた。

アイドルの楽しみ(仮題)-episode 0-

表参道の下り坂をショップ見ながら歩いていると、アロハシャツに短パンというチャラけた男が声をかけてきた。
「キミ、芸能界に興味ある?」
芸能界。当時中学生の私にもわかった。カメラを向けられて華々しく世間を飾る明るい世界とは裏腹の、新人同士がつぶし合い、先輩が後輩をつぶし、スターになった瞬間、僅かなうちに捨てられる芸能界。楽しい世界だとは微塵も思わなかった。しかし、興味はあった。馬鹿馬鹿しい平凡な日常より、少しは大人の汚い社会を嘲笑する楽しみができる。そんな考えで私はこの世界に身を置いた。
私はどんな仕事もこなした。曲がりなりにも演技関係はまじめに取り組んだし、先輩関係にも気を配った。元々もっている(と、年輩の大先輩からは言われていた)人付き合いの良さで、かなり評判がよかった。脇役ながらそこそこいい役ももらえた。しかし、どんな仕事も少しも楽しくはなかった。しかも、私からしたら馬鹿馬鹿しくて吹き出してしまいそうな話だが、この芸能界に憧れてたかる阿呆な虫けら女子どもがいる。この世界に夢も希望も未練もない邪魔ものは早めに消えるべきだから、20歳になったとき、『学業に専念する』といって引退した。
唯一私が芸能界で楽しめた仕事は、濡れる仕事だった。ベッドシーンではない。というか、ベッドシーンはしなかった。しけた世界に裸まで売る価値はない。私が楽しかったのは、本当に濡れる仕事。ずぶ濡れになることだった。

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